私は株とか投資にあまりいい印象を持っていなかった。
その昔、母は自営業だったのでずっと家にいたのだが
毎日ラジオの短波放送の株式市場の放送を熱心に聞いていた。
壁に方眼紙を貼り、手書きのチャート表を作り
証券会社に電話をして株の売り買いをしていたのだ。
分厚い会社四季報も読んでいたっけ。
今から思えば株式投資ガチ勢だった。
母には株の才能があったようで
そこそこ稼いでいたらしい。
同時期、母は昔から懇意にしていた保険屋さんに
「変額保険入って~。絶対得するから」
と言われ気軽に加入。
当時バブル真っただ中だったこともあり
預けたお金があっという間に倍に!
今から考えたらありえない事だと思うけど
本当にバブルって凄かったなぁとしみじみ思う。
倍になったところでとっとと解約した母。
今回得したことで保険屋さんに
また同じ保険に入ってくれと頼まれた。
入ったところでバブル崩壊(笑)
変額保険は半分に減りましたとさ。
最初は儲かっていたので
トータルで考えると
それほど損をしたわけではないのだけれど
母は
「変額保険にはもう絶対入らない!」
とブチ切れていた。
そうこうしている間に山一證券破綻‼
勿論母も巻き込まれたうちの一人である。
詳しくは聞いていないのだが
電話が通じなかったり
売りたい所で売れなかったりして大損したらしい。
私自身株に興味が無く当時の事はよく知らないのだが
それっきり投資を再開しなかったのだから
よほど懲りたのだろう。
ただ、この二つの出来事は
「こんな簡単にお金なくなるの怖っ」
「絶対に投資なんかしないぞ!」
と思うようになるには十分だった。
あれから40年近く経って、母は言う
「おかあさんパソコンとかスマホが使えたらまた株やるのになぁ~。
今やったら自分のタイミングで簡単に売り買いできるんやろ?
ええなぁ~」
懲りてなかった。
むしろ稼ぐ自信があるから
やりたいとさえ思っていたのだ。
まあそういう人よね。知ってた。
ただ、母は致命的な機械音痴で
根本的に取引は不可能なので
株の取引なんてさせられないし
本人もそれを理解しているのであきらめている。
そんな母が言う。
「あんた機械強いし調べるの好きやし
意外と向いてると思うで
やったらええのに」
「いやいやいや、
株を買うお金なんかないし
損するの嫌だし無理無理無理」
なんて言いながら
株ねぇ…と
少し心が動いた59歳の秋の日であった。
そんな私が投資を始めるのはもう少し後のお話。
